秋は来ぬ今やまがきのきりぎりす
夜な夜な鳴かむ風の寒さに
- 歌の意味
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秋が来た。今や垣根のこおろぎは、夜ごとに鳴くことだろう、風の寒さに。
- 鑑賞
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巻第十 物名 432
詞書「山柿の木」
秋が来た、今や垣根のこおろぎが夜ごとに鳴くだろう、風の寒さに、と詠む歌である。二句から三句にかけての「やまがきのき」に題の「山柿の木」を詠み込み、同時に「籬(まがき)」の語を生かして、垣根で鳴く虫の情景を描いている。秋の訪れを虫の声で感じ取る季節感の歌である。
作者は「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
初句「秋は来ぬ」の「ぬ」は完了の助動詞で、秋がやって来た、と言い切る。ここで句切れとなる。
二句「今やまがきの」は「今や籬の」で、今や垣根の、の意である。ここから三句の頭にかけての「やまがきのき」に題が隠されている。
三句「きりぎりす」は今のこおろぎをいい、秋の夜に鳴く虫の代表である。
四句「夜な夜な鳴かむ」の「む」は推量で、毎夜鳴くことだろう、の意である。
結句「風の寒さに」は、鳴く理由を倒置によって後から示し、秋風の冷たさを印象づける。
まがき:竹や柴で目を粗く編んだ垣根
きりぎりす:今のこおろぎ
やまがきのき:「今やまがきのきりぎりす」にまたがって詠み込まれた題で、山柿の木をいう
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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み吉野の吉野の滝に浮かびいづる 泡をかたまの消ゆと見つらむ
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かくばかりあふひのまれになる人を いかがつらしと思はざるべき