我はけさうひにぞ見つる花の色を
あだなるものといふべかりけり
- 歌の意味
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私は今朝初めて見た。この花の色こそを、はかなく移ろいやすいものと言うべきであったのだ。
- 鑑賞
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巻第十 物名 436
詞書「薔薇」
私は今朝初めて見た、この花の色こそを、移ろいやすくはかないものと言うべきであったのだ、と詠む歌である。初句から二句にかけての「けさうひに」に題の「さうび(薔薇)」を詠み込んでいる。薔薇は当時は珍しい外来の花とされ、初めて目にした花の色の鮮やかさと、そのはかなさへの感慨を重ねている。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を執筆した。『土佐日記』の作者としても知られる。
初句「我はけさ」は、私は今朝、の意で、「けさ」の「さ」から題の語が始まる。
二句「うひにぞ見つる」は「初にぞ見つる」で、初めて見た、の意である。初句と合わせた「けさうひ」に題の「さうび」が隠されている。係助詞「ぞ」を受けて連体形「つる」で結び、ここで句切れとなる。
三句「花の色を」は、薔薇の花の色を、の意で、四句以下の判断の対象を示す。
四句「あだなるものと」の「あだなり」は、はかない、移ろいやすい、の意である。
結句「いふべかりけり」は、言うべきであったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表し、今朝の一見で悟った思いを結ぶ。
うひ:初めて、最初
さうび:「けさうひに」にまたがって詠み込まれた題で、薔薇をいう
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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散りぬれば後はあくたになる花を 思ひ知らずもまどふてふかな
- 次の歌
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白露を玉に貫くやとささがにの 花にも葉にも糸をみなへし