白露を玉に貫くやとささがにの
花にも葉にも糸をみなへし
- 歌の意味
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白露を玉として糸に通そうというのか、蜘蛛が花にも葉にも、糸をすっかり張り渡している。
- 鑑賞
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巻第十 物名 437
詞書「女郎花」
白露を玉として糸に通そうというのか、蜘蛛が花にも葉にも糸を一面に張り渡している、と詠む歌である。結句の「糸をみなへし」に題の「をみなへし(女郎花)」を詠み込んでいる。露に濡れた蜘蛛の巣を、玉を貫こうとする糸に見立てた機知の歌である。ここから次歌の第四百三十八首、さらに第四百三十九首と、女郎花の題が三首続く。
作者の「とものり」は紀友則である。紀貫之の従兄で、古今和歌集の撰者の一人であったが、完成を見ずに没した。三十六歌仙の一人である。
初句「白露を」は、草花に置いた白い露を、の意で、見立ての対象を示す。
二句「玉に貫くやと」は、玉として糸に通そうとするのか、と推し量る。「や」は疑問を表す。
三句「ささがにの」は蜘蛛をいう語で、次の句へ主語として続く。
四句「花にも葉にも」は、花にも葉にもくまなく、の意で、蜘蛛の糸が一面に張られるさまを示す。
結句「糸をみなへし」は「糸を皆綜し」で、糸をすっかり張り渡している、の意である。「をみなへし」に題の「女郎花」が隠されている。
ささがに:蜘蛛
ぬく:玉などに糸を通して連ねる
ふ:糸を長く引き延ばして張り渡す
をみなへし:「糸をみなへし」の中に詠み込まれた題で、秋の七草の女郎花をいう
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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我はけさうひにぞ見つる花の色を あだなるものといふべかりけり
- 次の歌
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朝露を分けそほちつつ花見むと 今ぞ野山をみなへしりぬる