山高み常にあらしのふくさとは
にほひもあへず花ぞ散りける
- 歌の意味
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山が高いので、いつも嵐が吹きつける里では、美しく咲き匂う間もなく、花が散ってしまうことだ。
- 鑑賞
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巻第十 物名 446
詞書「忍草」
山が高いので、いつも嵐が吹く里では、美しく咲き匂う間もなく花が散ってしまう、と詠む歌である。二句から三句にかけての「しのふくさ」に題の「しのぶぐさ(忍草)」を詠み込んでいる。山里の花のはかなさを詠み、本巻の第四百三十五首の散る花の歌とも通い合う。
作者の「きのとしさた」は紀利貞である。平安時代前期の官人で、経歴は多く伝わらない。
初句「山高み」は、山が高いので、の意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。
二句「常にあらしの」は、いつも嵐が、の意で、「しの」から題の語が始まる。
三句「ふくさとは」は「吹く里は」で、二句と合わせた「しのふくさ」に題の「しのぶぐさ」が隠されている。
四句「にほひもあへず」は、美しく咲き匂う間もなく、の意で、「あへず」は、〜しきれない、を表す。
結句「花ぞ散りける」は「ぞ」を受けて連体形「ける」で結び、花がはかなく散ったことを詠嘆する。
あふ:(打消を伴って)〜しきれない、〜しおおせない
しのぶぐさ:シダの一種のノキシノブなどをいう、「あらしのふくさとは」にまたがって詠み込まれる
- 作者
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紀利貞
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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花の木にあらざらめども咲きにけり ふりにしこのみなる時もがな
- 次の歌
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ほととぎす峰の雲にやまじりにし ありとは聞けど見るよしもなき