ほととぎす峰の雲にやまじりにし
ありとは聞けど見るよしもなき
- 歌の意味
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ほととぎすは峰の雲に紛れ込んでしまったのだろうか。そこにいると声は聞くけれど、姿を見る手だてもない。
- 鑑賞
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巻第十 物名 447
詞書「やまし」
ほととぎすは峰の雲に紛れ込んでしまったのか、そこにいると声は聞くけれども、姿を見るすべもない、と詠む歌である。二句から三句にかけての「やまじ」に題の「やまし」を詠み込んでいる。やましは植物の名とされるが、何を指すかは明らかでない。声はすれども姿の見えないほととぎすを詠み、本巻の第四百二十三首の、声で人を騒がせるほととぎすの歌と響き合う。
作者の「平あつゆき」は平篤行である。平安時代前期の官人で、経歴の詳細は伝わらない。
初句「ほととぎす」は夏を告げる鳥で、歌の主題を最初に示す。
二句「峰の雲にや」の「や」は疑問の係助詞で、峰の雲の中にであろうか、の意である。「や」から題の語が始まる。
三句「まじりにし」は、紛れ込んでしまった、の意で、「にし」は完了と過去の組み合わせである。二句と合わせた「やまじ」に題の「やまし」が隠されており、「や」を受けて連体形「し」で結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「ありとは聞けど」は、そこにいるとは声で聞き知るけれども、の意である。
結句「見るよしもなき」は、見る手だてもない、の意で、連体形で止めて余韻を残す。
まじる:紛れ込む、入り混じる
よし:手だて、方法
やまし:植物の名とされるが未詳、「雲にやまじりにし」の中に詠み込まれる
- 作者
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平篤行
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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山高み常にあらしのふくさとは にほひもあへず花ぞ散りける
- 次の歌
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空蝉のからは木ごとにとどむれど 魂のゆくへを見ぬぞ悲しき