うばたまの夢になにかはなぐさまむ
うつつにだにも飽かぬ心は
- 歌の意味
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夢の中でどうして慰められようか。現実に逢ってさえ満ち足りることのない、この心は。
- 鑑賞
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巻第十 物名 449
詞書「かはなぐさ」
夢の中でどうして心が慰められようか、現実に逢ってさえ満ち足りることのない心は、と詠む歌である。二句から三句にかけての「かはなぐさ」に題を詠み込んでいる。かはなぐさは川に生える草の名とされるが、何を指すかは定かでなく、古今伝授の三木の一つに数えられた。恋しい人への尽きない思いを、夢と現実の対比によって表した恋の歌である。
作者の「ふかやふ」は清原深養父である。清少納言の曽祖父にあたり、琴の名手としても知られた。
初句「うばたまの」は「夢」にかかる枕詞で、夜の闇を思わせる。
二句「夢になにかは」の「かは」は反語を表し、夢でどうして、の意である。「かは」から題の語が始まる。
三句「なぐさまむ」は「かは」を受けて連体形「む」で結び、慰められようか、いや慰められない、と打ち消す。二句と合わせた「かはなぐさ」に題が隠されている。ここで句切れとなる。
四句「うつつにだにも」の「だに」は、〜さえ、の意で、現実でさえ、と程度の軽いものを挙げる。
結句「飽かぬ心は」は、満ち足りない心は、の意で、倒置によって三句の主語を後から示している。
うばたま:ヒオウギの黒い実、「うばたまの」で夜や夢などにかかる枕詞となる
うつつ:現実、目覚めている状態
かはなぐさ:川に生える草の名とされるが未詳、古今伝授の三木の一つ
- 作者
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清原深養父
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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空蝉のからは木ごとにとどむれど 魂のゆくへを見ぬぞ悲しき
- 次の歌
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花の色はただひとさかりこけれども 返す返すぞ露は染めける