命とて露を頼むにかたければ
物わびしらに鳴く野辺の虫
- 歌の意味
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命の綱として露を頼みにするのは難しいので、いかにももの寂しげに鳴いている、野辺の虫よ。
- 鑑賞
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巻第十 物名 451
詞書「苦竹」
命の綱として露を頼みにするのは難しいので、もの寂しげに鳴いている野辺の虫よ、と詠む歌である。二句から三句にかけての「にかたけ」に題の「にがたけ(苦竹)」を詠み込んでいる。露を頼りに命をつなぐ虫のはかなさを、秋の野に鳴く声に託して詠んでいる。
作者の「しけはる」は在原滋春である。在原業平の次男で、「在次君」とも呼ばれた。
初句「命とて」は、命をつなぐものとして、の意である。
二句「露を頼むに」は、露を頼りにすることに、の意で、末尾の「に」から題の語が始まる。
三句「かたければ」は「難ければ」で、難しいので、と理由を示す。二句と合わせた「にかたけ」に題の「にがたけ」が隠されている。
四句「物わびしらに」は、いかにももの寂しそうに、の意である。
結句「鳴く野辺の虫」は体言止めで、秋の野で鳴く虫の姿を印象深く結ぶ。
のべ:野原、野のあたり
にがたけ:竹の一種の苦竹、真竹のこととされる、「頼むにかたければ」の中に詠み込まれる
- 作者
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在原滋春
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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花の色はただひとさかりこけれども 返す返すぞ露は染めける
- 次の歌
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さ夜ふけてなかばたけゆく久方の 月吹き返せ秋の山風