煙たち燃ゆとも見えぬ草の葉を
誰かわらびと名づけそめけむ
- 歌の意味
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煙が立って燃えているとも見えない草の葉を、いったい誰が「わらび(藁火)」と名づけ始めたのだろう。
- 鑑賞
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巻第十 物名 453
詞書「蕨」
煙が立って燃えているとも見えない草の葉を、誰が「わらび(藁火)」と名づけ始めたのだろう、と詠む歌である。四句の「わらび」を「藁火」と解して、火でもないのに火の名を持つことをいぶかる言葉遊びで、題の語をそのまま歌に出しながら別の意味を重ねている。
作者の「真せいほうし」は真静法師である。平安時代前期の僧とみられるが、経歴の詳細は伝わらない。
初句「煙たち」は、煙が立ち上って、の意で、火にまつわる縁語が始まる。
二句「燃ゆとも見えぬ」は、燃えているとも見えない、の意で、「燃ゆ」は初句の「煙」と縁語をなす。
三句「草の葉を」は、蕨という草の葉を、の意である。
四句「誰かわらびと」の「か」は疑問の係助詞で、「わらび」に「蕨」と「藁火」を掛けている。「火」は「煙」「燃ゆ」と縁語をなす。
結句「名づけそめけむ」は「か」を受けて連体形「けむ」で結び、誰が名づけ始めたのだろう、と過去の事柄を推し量る。
もゆ:燃える
わらび:山菜の「蕨」と、藁を燃やす火の「藁火」を掛ける
- 作者
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真静法師
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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さ夜ふけてなかばたけゆく久方の 月吹き返せ秋の山風
- 次の歌
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いささめに時まつまにぞひはへぬる 心ばせをば人に見えつつ