いささめに時まつまにぞひはへぬる
心ばせをば人に見えつつ
- 歌の意味
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ほんのかりそめのつもりで時機を待っている間に、日が過ぎてしまった。心の内を人に見せながら。
- 鑑賞
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巻第十 物名 454
詞書「笹、松、枇杷、芭蕉葉」
ほんのかりそめに時機を待っている間に、日が過ぎてしまった、心の内を人に見せながら、と詠む歌である。初句の「いささめ」に「ささ」、二句の「まつ」に「まつ」、三句の「ひは」に「びは」、四句の「心ばせをば」に「ばせをば」と、四つの題を順に詠み込んでいる。多くの題を一首に収める技巧を見せつつ、待つうちに時が過ぎていく焦りを詠んでいる。
作者の「きのめのと」は紀乳母である。陽成天皇の乳母であった紀氏の女性とされる。
初句「いささめに」は、かりそめに、ほんのしばらく、の意で、「ささ」に題の「笹」が隠されている。
二句「時まつまにぞ」は、時機を待つ間に、の意で、「まつ」に題の「松」が隠されている。係助詞「ぞ」は三句の結びへとかかる。
三句「ひはへぬる」は「日は経ぬる」で、日が過ぎてしまった、の意である。「ひは」に題の「枇杷」が隠され、「ぞ」を受けて連体形「ぬる」で結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「心ばせをば」は、心の内、心づかいを、の意で、「ばせをば」に題の「芭蕉葉」が隠されている。
結句「人に見えつつ」は、人に見せながら、の意で、「つつ」によって余韻を残して結ぶ。
ささ:「いささめに」の中に詠み込まれた題で、笹をいう
まつ:「待つ」の意と、題の「松」を掛ける
ひは:「日は」の意と、題の「枇杷」を掛ける
こころばせ:心の働き、気だて
ばせをば:「心ばせをば」の中に詠み込まれた題で、芭蕉の葉をいう
- 作者
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紀乳母
- 出典
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古今和歌集
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煙たち燃ゆとも見えぬ草の葉を 誰かわらびと名づけそめけむ
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あぢきなしなげきなつめそ憂きことに あひくるみをば捨てぬものから