流れいづる方だに見えぬ涙川
おきひむ時や底は知られむ
- 歌の意味
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流れ出る源さえ見えない涙の川は、沖が干上がる時になってこそ、その底が知られるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 物名 466
詞書「熾火」
流れ出る源さえ見えない涙の川は、沖が干上がる時にこそ、その底が知られるのだろうか、と詠む歌である。四句の「おきひむ」に題の「おきび(熾火)」を詠み込んでいる。熾火は赤くおこった炭火をいう。尽きることのない涙を川にたとえ、心の底の深さを詠んだ恋の歌で、火の題を水の歌に詠み込んだ対照に面白さがある。
作者の「みやこのよしか」は都良香である。文章博士を務めた漢学者で、漢詩文に優れた。
初句「流れいづる」は、流れ出る、の意で、涙の川の流れを示す。
二句「方だに見えぬ」は、流れ出る所さえ見えない、の意で、「だに」は、〜さえ、を表す。
三句「涙川」は、とめどなく流れる涙を川にたとえた語である。
四句「おきひむ時や」は「沖干む時や」で、沖が干上がる時に、の意である。「おきひ」に題の「熾火」が隠されている。「や」は疑問の係助詞である。
結句「底は知られむ」は「や」を受けて連体形「む」で結び、心の底が知られるのだろうか、と推し量る。
なみだがは:涙が多く流れるさまを川にたとえた語
ひる:水が引いて乾く
おきび:赤くおこった炭火、「おきひむ」の中に詠み込まれる
- 作者
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都良香
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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春かすみなかし通ひ路なかりせば 秋来る雁は帰らざらまし
- 次の歌
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のちまきのおくれて生ふる苗なれど あだにはならぬたのみとぞ聞く