- 歌の意味
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吉野川の岩に砕ける波が高く、速く流れていく水のように、早くからあの人を思い始めていたのだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 471
詞書「題しらず」
吉野川の激しい流れを序として、ずっと前からあの人を思い始めていたと打ち明ける歌である。岩に当たって高く波立つ急流のイメージが、抑えきれずに走り出した恋心の勢いを思わせる。水の「速く」と時の「早く」を重ねた構成が明快で、恋の始まりを力強く詠んでいる。
作者の紀貫之は古今和歌集の撰者の一人で、仮名序の筆者とされる。土佐守を務め、任地からの帰京の旅を記した『土佐日記』を著した。三十六歌仙の一人である。
初句「吉野川」は大和国の歌枕で、急流で知られる。本巻の第四百九十二首も同じ初句「吉野川」で始まり、三句「行く水の」まで共有している。本歌は水の勢いを恋の始まりの早さに、第四百九十二首は水の音を恋を口に出さない決意に用い、同じ川を対照的な趣向で詠んでいる。
二句「岩波高く」は、岩に打ち当たって高く立つ波をいう。
三句「行く水の」は、流れていく水のようにの意で、初句からここまでが四句の「はやく」を導く序詞である。
四句「はやくぞ人を」の「はやく」は、水の流れの「速く」と、時期の「早く」を掛けた掛詞である。「ぞ」は係助詞で、結句の「てし」と係り結びをなす。
結句「思ひそめてし」は、思い始めてしまったの意である。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、四句の「ぞ」を受けて結んでいる。
はやく:水の流れが速い意と、時期が早い意を掛ける
おもひそむ:思い始める。恋し始める
いはなみ:岩に当たって砕ける波
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
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音にのみきくの白露夜はおきて 昼はおもひにあへず消ぬべし
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