逢ふことは雲居はるかになる神の
音に聞きつつ恋ひわたるかな
- 歌の意味
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逢うことは雲の彼方のように遥か遠くなってしまい、その遥かな空に鳴る雷の音のように、噂にばかり聞きながら恋い続けていることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 482
詞書「題しらず」
逢うことが雲の彼方ほど遠い相手を、遠くに鳴る雷の音のように噂で聞くばかりで恋い続ける歌である。「なる」に「成る」と「鳴る」を掛けて上の句と下の句をなめらかにつなぎ、手の届かない相手への恋を雄大な天空の景に託している。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の一人で、仮名序の筆者とされる。土佐守を務め、『土佐日記』を著した。三十六歌仙の一人である。
初句「逢ふことは」は、あの人に逢うことはの意で、一首の主題を提示している。
二句「雲居はるかに」の「雲居」は、雲のある所、空の彼方の意で、逢うことの遠さと空の遠さを重ねている。本巻の第四百八十四首の「雲のはたて」も同じく空の彼方に恋の思いを向けている。
三句「なる神の」の「なる」は、遥かに「成る」と、雷が「鳴る」を掛けた掛詞である。「鳴る神」は雷のことで、ここから四句の「音」を導いている。
四句「音に聞きつつ」は、噂に聞きながらの意で、雷の音と噂の音を重ねている。本巻の第四百七十三首の「音に聞きつつ」と同じ句である。
結句「恋ひわたるかな」の「わたる」は、ずっと続ける意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。
くもゐ:雲のある所、はるかな空
なる:遥かに成る意と、雷が鳴る意を掛ける
なるかみ:雷
こひわたる:ずっと恋い続ける
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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初雁のはつかに声を聞きしより 中空にのみ物を思ふかな
- 次の歌
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片糸をこなたかなたに縒りかけて あはずは何を玉の緒にせむ