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ちはやぶる賀茂の社の木綿だすき
一日も君をかけぬ日はなし

歌の意味
賀茂の社の神官が木綿だすきを掛けない日がないように、一日としてあなたを心に掛けない日はない。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 487

詞書「題しらず」
 賀茂神社の神職が神事のたびに肩に掛ける木綿だすきを序とし、一日も欠かさず相手を思い続ける心を詠んだ歌である。神に仕える日々の営みを持ち出すことで、恋心の変わらなさと真剣さを印象づけている。

 初句「ちはやぶる」は、「神」や神にかかわる語にかかる枕詞で、ここでは「賀茂の社」にかかる。
 二句「賀茂の社の」は、山城国の賀茂神社のことで、上賀茂神社と下鴨神社を指す。
 三句「木綿だすき」は、楮の繊維で作った木綿を用いたたすきで、神事の際に掛けるものである。初句からここまでが四句以下の「かけ」を導く序詞である。
 四句「一日も君を」は、一日としてあなたをの意である。
 結句「かけぬ日はなし」の「かけ」は、たすきを「掛け」と、心に「かけ」を掛けた掛詞である。本巻の第四百八十九首の結句「恋ひぬ日はなし」と同じ構文で、一日も欠かさぬ恋を詠む歌が並べられている。

ちはやぶる:「神」などにかかる枕詞
ゆふだすき:木綿で作ったたすき。神事に奉仕する際に掛ける
かく:たすきを掛ける意と、心に掛ける意を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
つれもなき人をやねたく白露の おくとは嘆き寝とはしのばむ
次の歌
わが恋はむなしき空に満ちぬらし 思ひやれども行く方もなし