わが恋はむなしき空に満ちぬらし
思ひやれども行く方もなし
- 歌の意味
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私の恋は、もう大空いっぱいに満ちてしまったらしい。思いを晴らそうと遠くへやっても、もう行く先もない。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 488
詞書「題しらず」
自分の恋心が大空に満ちあふれてしまい、思いをどこへやっても行き場がないと詠む歌である。恋の思いを空間いっぱいに広がるものとしてとらえる、大胆で壮大な発想が特徴である。胸に収まりきらない恋の大きさを、誇張した表現で印象的に示している。
初句「わが恋は」は、私の恋はの意で、一首の主題を提示している。
二句「むなしき空に」の「むなしき空」は、何もない大空、虚空のことである。本巻の第四百八十四首の「天つ空」に続き、恋を空と結びつけた歌である。
三句「満ちぬらし」の「ぬ」は完了、「らし」は根拠のある推定の助動詞で、満ちてしまったらしいの意である。三句で切れる。
四句「思ひやれども」の「思ひやる」は、思いを遠くへやって晴らすの意である。
結句「行く方もなし」は、行く先もないの意で、恋が空いっぱいに満ちて、思いを放つ余地もないことを表している。
むなしきそら:何もない大空、虚空
おもひやる:思いを遠くへやって心を晴らす
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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ちはやぶる賀茂の社の木綿だすき 一日も君をかけぬ日はなし
- 次の歌
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駿河なる田子の浦波立たぬ日は あれども君を恋ひぬ日はなし