- 歌の意味
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人に知られないように思い続けていると苦しい。いっそ紅の末摘花のように、はっきりと表に出してしまおう。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 496
詞書「題しらず」
人知れず恋い続ける苦しさに耐えかね、いっそ紅花の色のようにはっきりと表に出してしまおうと思う歌である。忍ぶ恋から、思いを表に出す方へと心が傾いていく転換が詠まれている。鮮やかな紅花の色彩が、押さえてきた恋心の激しさを象徴している。
初句「人知れず」は、人に知られないようにの意である。
二句「思へば苦し」は、思い続けていると苦しいの意で、二句で切れる。
三句「紅の」は、紅花から採る鮮やかな赤色のことである。
四句「末摘花の」の「末摘花」は紅花の異名で、茎の末に咲く花を摘むことからこう呼ぶ。三句と合わせて結句の「色」を導く序詞である。
結句「色に出でなむ」は、表に出してしまおうの意で、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「む」は意志を表す。本巻の第五百三首は「色には出でじ」と表に出すまいとした心を詠み、対照をなしている。次歌の第四百九十七首も「色にや恋ひむ」と色の語を受け継いでいる。
すゑつむはな:紅花の異名
いろにいづ:思いが顔色や態度に表れる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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思ひ出づるときはの山の岩つつじ いはねばこそあれ恋しきものを
- 次の歌
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秋の野の尾花にまじり咲く花の 色にや恋ひむ逢ふよしをなみ