人の身もならはしものを逢はずして
いざ試みむ恋ひや死ぬると
- 歌の意味
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人の身も習慣しだいで慣れるものだというのに。逢わないままで、さあ試してみよう。恋のために本当に死ぬものかどうかを。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 518
詞書「題しらず」
人の身は慣れしだいだというのだから、逢わずにいて恋で本当に死ぬのか試してみようと詠む歌である。恋に死ぬという常套の表現を逆手に取り、半ば自嘲的、半ば挑戦的な調子で恋の苦しみに向き合っている。前歌の第五百十七首と並び、恋と死を主題とする歌である。
初句「人の身も」は、人の身体もの意である。
二句「ならはしものを」は、習慣しだいで慣れるものであるのにの意で、「ものを」は逆接を表す。
三句「逢はずして」は、逢わないままでの意である。
四句「いざ試みむ」は、さあ試してみようの意で、「む」は意志を表す。四句で切れる倒置の構成である。
結句「恋ひや死ぬると」は、恋で死ぬのかどうかとの意である。本巻の第四百九十二首、第四百九十四首の結句「恋ひは死ぬとも」が死を覚悟する決意であるのに対し、本歌はそれを試すという趣向で詠まれている。
ならはし:習慣、慣れ
こころみる:試してみる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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恋しきに命を替ふるものならば 死にはやすくぞあるべかりける
- 次の歌
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忍ぶれば苦しきものを人知れず 思ふてふこと誰に語らむ