思ひやる境はるかになりやする
惑ふ夢路に逢ふ人のなき
- 歌の意味
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思いを馳せるあの人との隔たりが、遥かに遠くなってしまったのだろうか。迷いながらたどる夢の中の道で、逢う人もいない。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 524
詞書「題しらず」
夢の中であの人を探してさまよっても逢えないのは、二人の隔たりが遥かに遠くなってしまったからかと嘆く歌である。当時は相手が自分を思うと夢に現れると考えられており、夢で逢えないことは心の距離が離れたことを意味した。夢路をさまよう姿に、恋の不安と寂しさがにじんでいる。
初句「思ひやる」は、遠くにいる人に思いを馳せるの意である。
二句「境はるかに」の「境」は、隔たり、境界の意で、自分と相手との距離を表している。
三句「なりやする」は、なったのだろうかの意で、「や」は係助詞で疑問を表し、「する」と係り結びをなす。三句で切れる。
四句「惑ふ夢路に」の「夢路」は、夢の中で通う道のことである。前歌の第五百二十三首の「身の惑ふ」を受けて、ここでは夢の中で惑う姿を詠んでいる。
結句「逢ふ人のなき」は、逢う人もいないの意で、連体形で結んで嘆きの余韻を残している。
おもひやる:遠くの人に思いを馳せる
さかひ:隔たり、境界
ゆめぢ:夢の中で通う道
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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人を思ふ心は我にあらねばや 身の惑ふだに知られざるらむ
- 次の歌
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夢の内に逢ひ見むことを頼みつつ 暮らせる宵は寝む方もなし