恋ひ死ねとするわざならしむばたまの
夜はすがらに夢に見えつつ
- 歌の意味
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恋い死にせよと仕向けるしわざであるらしい。夜は一晩中、あの人が夢に現れ続けることは。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 526
詞書「題しらず」
夜通し恋人が夢に現れ続けるのは、自分を恋い死にさせようとするしわざに違いないと詠む歌である。夢に逢えることは本来うれしいはずなのに、覚めれば逢えない現実に引き戻されるため、かえって恋しさがつのって苦しくなる。夢の恋の甘さと苦さを逆説的に表した一首である。
なお本文の三句は「むばたまの」とあり、読み仮名の行の「うばたまの」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「恋ひ死ねと」は、恋い焦がれて死ねとの意で、命令の形をとっている。
二句「するわざならし」の「わざ」は、しわざ、行為の意で、「らし」は根拠のある推定を表す。二句で切れ、三句以下で根拠を示す倒置の構成である。
三句「むばたまの」は「夜」「黒」などにかかる枕詞で、「ぬばたまの」「うばたまの」とも表記される。
四句「夜はすがらに」は、夜は一晩中の意である。
結句「夢に見えつつ」は、夢に現れ続けての意で、「つつ」は継続を表す。本巻の第五百十六首から続く夢の歌の中で、夢に見ることがかえって苦しみとなる逆説を詠んでいる。
わざ:しわざ、行為
むばたまの:「夜」「黒」などにかかる枕詞
すがら:始めから終わりまでずっと
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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夢の内に逢ひ見むことを頼みつつ 暮らせる宵は寝む方もなし
- 次の歌
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涙川枕流るるうき寝には 夢もさだかに見えずぞありける