恋すればわが身は影となりにけり
さりとて人に添はぬものゆゑ
- 歌の意味
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恋をしたので、わが身は痩せ衰えて影のようになってしまった。そうかといって、影のようにあの人に寄り添えるわけでもないのに。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 528
詞書「題しらず」
恋に痩せ衰えて影のような姿になってしまったが、影ならば人に寄り添えるはずなのに、それもかなわないと嘆く歌である。影が本体から離れないことを踏まえ、姿は影になっても相手に添えない皮肉を詠んでいる。恋やつれを機知的に表した一首である。
初句「恋すれば」は、恋をしたのでの意である。
二句「わが身は影と」は、わが身は影のようにの意で、恋に痩せ衰えた姿をたとえている。本巻の第五百三十首の「篝火の影となる身」も、恋する身を影にたとえている。
三句「なりにけり」は、なってしまったの意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。三句で切れる。
四句「さりとて人に」は、そうかといってあの人にの意である。
結句「添はぬものゆゑ」の「ものゆゑ」は逆接を表し、寄り添わないのにの意である。影は人に寄り添うものなのに、影となった自分は相手に添えないという皮肉を込めている。
さりとて:そうかといって
そふ:寄り添う
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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涙川枕流るるうき寝には 夢もさだかに見えずぞありける
- 次の歌
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篝火にあらぬわが身のなぞもかく 涙の川に浮きて燃ゆらむ