笹の葉に置く霜よりもひとり寝る
わが衣手ぞ冴えまさりける
- 歌の意味
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笹の葉に降りる霜よりも、ひとりで寝る私の袖のほうがいっそう冷たく冴えていることだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 563
詞書「寛平御時后の宮の歌合の歌」
笹の葉に置いた霜の冷たさよりも、独り寝をする自分の袖のほうがいっそう冷え冷えとしていると詠む歌である。涙に濡れた袖の冷たさを霜と比べることで、恋しい人に逢えない独り寝の寂しさを身体の感覚として表している。寛平御時后宮歌合での作で、同歌合の歌が並ぶ一連の中に置かれている。次歌とともに霜を詠む二首が並ぶ。
作者の「紀とものり」は紀友則である。平安時代前期の歌人で、紀有友の子、紀貫之の従兄弟にあたる。大内記などを務め、古今和歌集の撰者の一人に任じられたが、完成を見ずに没した。三十六歌仙の一人である。
初句「笹の葉に」 冬の夜の冷たい景物として笹の葉を取り上げる。
二句「置く霜よりも」 「置く」は霜や露が降りる意である。「よりも」で霜を比較の基準とし、三句以下の袖の冷たさへ続ける。次歌の第五百六十四首も「置く霜」を詠んでおり、二首が同じ景物でつながる。
三句「ひとり寝る」 恋しい人のいない独り寝を言い、四句の「衣手」を修飾する。
四句「わが衣手ぞ」 「衣手」は袖のことである。涙に濡れた袖を暗示している。係助詞「ぞ」は結句の「ける」と係り結びをなす。
結句「冴えまさりける」 「冴ゆ」は冷え冷えとする意、「まさる」はいっそうそうなる意で、「ける」は「ぞ」の結びとしての連体形である。霜にまさる冷たさとして独り寝のつらさを言い切る。
ころもで:袖
さゆ:冷え込む、冷え冷えとする
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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夕されば蛍よりけに燃ゆれども 光見ねばや人のつれなき
- 次の歌
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わが宿の菊の垣根に置く霜の 消えかへりてぞ恋しかりける