川の瀬になびく玉藻の水隠れて
人に知られぬ恋もするかな
- 歌の意味
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川の瀬になびく美しい藻が水に隠れているように、人に知られることのない恋をしていることだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 565
詞書「寛平御時后の宮の歌合の歌」
川の瀬で水の流れになびく藻が水中に隠れて見えないように、人に知られない恋をしていると詠む歌である。上の句の景を序詞とし、水面の下で揺れ続ける藻の姿に、表には出せず心の底で揺れ動く恋心を重ねている。寛平御時后宮歌合での作で、同歌合の歌が並ぶ一連の中に置かれている。
作者の「紀とものり」は紀友則である。平安時代前期の歌人で、紀有友の子、紀貫之の従兄弟にあたる。大内記などを務め、古今和歌集の撰者の一人に任じられたが、完成を見ずに没した。三十六歌仙の一人である。
初句「川の瀬に」 「瀬」は川の浅く流れの速いところである。
二句「なびく玉藻の」 「玉藻」は藻の美称である。流れのままになびく藻は、相手に心を寄せる恋心の姿とも重なる。
三句「水隠れて」 「水隠る」は水中に隠れて見えない意である。初句からの景がここで四句の「人に知られぬ」を導く。
四句「人に知られぬ」 「れ」は受身の助動詞「る」の未然形、「ぬ」は打消の連体形で、人に知られない恋を言う。本巻の第五百六十首の「知る人のなき」と同じく、秘めた恋の孤独を詠む。
結句「恋もするかな」 本巻の第五百六十一首と同じ結句で、同じ作者が景物を変えて同じ型で結んでいる。
たまも:藻の美称
みがくる:水中に隠れて見えなくなる
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わが宿の菊の垣根に置く霜の 消えかへりてぞ恋しかりける
- 次の歌
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かきくらし降る白雪の下消えに 消えて物思ふころにもあるかな