かきくらし降る白雪の下消えに
消えて物思ふころにもあるかな
- 歌の意味
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空を暗くして降る白雪が下のほうから消えてゆくように、心の中で消え入るように思い悩んでいるこのごろであることよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 566
詞書「寛平御時后の宮の歌合の歌」
空を暗くして降り積もる白雪が、下の方から人知れず消えてゆくように、自分も心の内で消え入るように思い悩んでいると詠む歌である。上の句を序詞とし、表からは見えない雪の下消えに、外に表せない恋の苦しみを重ねている。寛平御時后宮歌合での作で、同歌合の歌が並ぶ一連の中に置かれている。
作者の「みふのたたみね」は壬生忠岑である。平安時代前期の歌人で、壬生忠見の父。右衛門府生などの下級官人であったが、古今和歌集の撰者の一人に選ばれた。三十六歌仙の一人である。
初句「かきくらし」 「かきくらす」は空一面を暗くする意で、雪が激しく降るさまを表す。心が暗く閉ざされる感じも添える。
二句「降る白雪の」 降り積もる雪を言い、三句の「下消え」へ続く。
三句「下消えに」 「下消え」は積もった雪が下の方から消えることである。初句からここまでが序詞となり、四句の「消えて」を導く。
四句「消えて物思ふ」 身も消え入るように思い悩む意である。「物思ふ」は恋に思い悩むことを言う。八音の字余りの句である。前歌の第五百六十四首の「消えかへりて」と同じく、消えゆく景物から消え入る心を導く趣向が続く。
結句「ころにもあるかな」 「かな」は詠嘆の終助詞で、そうした日々が続いていることをしみじみと嘆いて結ぶ。
かきくらす:空一面を暗くする
したぎえ:積もった雪が下の方から消えること
ものおもふ:思い悩む。多く恋の悩みを言う
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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川の瀬になびく玉藻の水隠れて 人に知られぬ恋もするかな
- 次の歌
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君恋ふる涙の床に満ちぬれば みをつくしとぞ我はなりぬる