五月山梢を高みほととぎす
鳴く音そらなる恋もするかな
- 歌の意味
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五月の山の梢が高いので、ほととぎすの鳴く声が空から聞こえてくるように、上の空になるほどの恋をしていることだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 579
詞書「題しらず」
五月の山の高い梢で鳴くほととぎすの声が空から響くように、心も上の空になるほどの恋をしていると詠む歌である。上の句の夏山の景を序詞とし、「そら」の一語に空と上の空の二つの意を掛けて、景から心情へと転じている。前歌に続いてほととぎすを詠む。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。平安時代前期の歌人で、紀望行の子。古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を記した。土佐守を務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「五月山」 陰暦五月の、青葉の茂る山である。ほととぎすが盛んに鳴く季節である。
二句「梢を高み」 「〜を〜み」は原因を表す語法で、梢が高いのでの意である。
三句「ほととぎす」 前歌の第五百七十八首と同じくほととぎすを詠む。初句からここまでと四句の「鳴く音」までが序詞となり、「そら」を導く。
四句「鳴く音そらなる」 「そら」は、ほととぎすの声が響く「空」と、心が落ち着かない「上の空」とを掛けた掛詞である。
結句「恋もするかな」 本巻の第五百六十一首、第五百六十五首と同じ結句で、景物を変えて同じ型で結ぶ歌が繰り返される。
さつきやま:陰暦五月の、青葉の茂る山
そら:ほととぎすの声が響く「空」と、心が落ち着かない「上の空」を掛ける
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わがごとくものや悲しきほととぎす 時ぞともなく夜ただ鳴くらむ
- 次の歌
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秋霧の晴るる時なき心には 立ち居のそらも思ほえなくに