秋風にかきなす琴の声にさへ
はかなく人の恋しかるらむ
- 歌の意味
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秋風の中でかき鳴らす琴の音にまで、どうしてこうもあてどなく、あの人が恋しくなるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 586
詞書「題しらず」
秋風の吹く中でかき鳴らす琴の音を聞くにつけても、どうしてこうもわけもなく人が恋しくなるのだろうと詠む歌である。秋風と琴の音という物寂しい響きが重なり、何を聞いても恋しさを誘われてしまう心が表されている。本巻ではこのあたりに秋の景物を詠み込む歌がまとまって置かれている。
作者の「たたみね」は壬生忠岑である。平安時代前期の歌人で、壬生忠見の父。下級官人であったが、古今和歌集の撰者の一人に選ばれた。三十六歌仙の一人である。
初句「秋風に」 秋風の吹く中での意である。秋風は物寂しさを誘う景物として詠まれる。
二句「かきなす琴の」 「かきなす」は弦をかき鳴らす意である。
三句「声にさへ」 「声」は琴の音のことである。「さへ」は添加を表し、琴の音にまでの意となる。前歌の第五百八十五首の雁の鳴く声に続き、ここでは琴の音を取り上げ、音の響きによって恋しさが誘われる歌が並ぶ。
四句「はかなく人の」 「はかなく」はここでは、とりとめもなく、わけもなくの意である。
結句「恋しかるらむ」 「らむ」は原因推量で、どうして恋しくなるのだろうかと自らに問いかけて結ぶ。
かきなす:弦をかき鳴らす
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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人を思ふ心は雁にあらねども 雲居にのみもなきわたるかな
- 次の歌
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真菰刈る淀の沢水雨降れば 常よりことにまさるわが恋