真菰刈る淀の沢水雨降れば
常よりことにまさるわが恋
- 歌の意味
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真菰を刈る淀の沢の水が、雨が降るといつもより水かさを増すように、いつにもましてつのってゆく私の恋よ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 587
詞書「題しらず」
真菰を刈る淀の沢水が雨で水かさを増すように、自分の恋もいつにもましてつのると詠む歌である。上の句の水辺の景を序詞とし、雨で増す水の様子に高まる恋心を重ねている。結句を「わが恋」と体言で止め、つのる思いを印象深く言い切っている。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。平安時代前期の歌人で、紀望行の子。古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を記した。土佐守を務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「真菰刈る」 「真菰」は水辺に生えるイネ科の草で、刈って筵などにした。「真菰刈る」は淀の景を示す修飾の句である。
二句「淀の沢水」 「淀」は山城国の地名で、淀川の流域の湿地である。沢の水は雨によって増すものとして詠まれる。
三句「雨降れば」 初句からここまでが序詞となり、水が増すことから四句の「まさる」を導く。
四句「常よりことに」 「ことに」はとりわけ、格別にの意で、いつもよりいっそうの意となる。
結句「まさるわが恋」 「まさる」は水かさが増す意と、恋の思いがつのる意とを重ねる。「わが恋」と体言止めで結ぶ。本巻の第五百六十首の「しげさまされど」と同じく、景物の増すさまに恋のつのりを重ねる。
まこも:水辺に生えるイネ科の草
よど:山城国の地名。淀川流域の湿地
さはみづ:沢の水
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
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秋風にかきなす琴の声にさへ はかなく人の恋しかるらむ
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越えぬ間は吉野の山の桜花 人づてにのみ聞きわたるかな