冬川の上は凍れる我なれや
下に流れて恋ひわたるらむ
- 歌の意味
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私は表面だけが凍った冬の川なのだろうか。表には出さず、氷の下を流れる水のように、心の内で恋し続けているのだろう。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 591
詞書「題しらず」
自分を表面だけが凍った冬の川にたとえ、表には出さないまま、氷の下を流れる水のように心の内で恋い続けていると詠む歌である。外見の平静さと内に秘めた恋の激しさとの対比を、冬の川の姿によって巧みに表している。
作者の「むねをかのおほより」は宗岳大頼である。平安時代前期の官人で、詳しい経歴は伝わらない。
初句「冬川の」 冬の川で、表面が凍りつきながら、その下では水が流れているものとして詠まれる。本巻の第五百七十三首は冬も凍らない涙の川を詠んでおり、冬の川をめぐって二首が対照をなす。
二句「上は凍れる」 「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、表面は凍っているの意である。表向きは平静を装う自分の姿を重ねる。
三句「我なれや」 「なれや」は断定の助動詞「なり」の已然形に疑問の「や」が付いた形で、私であるからだろうかの意となる。「や」は結句の「らむ」と係り結びをなす。ここで句切れとなる。
四句「下に流れて」 「下」は氷の下と、表に出ない心の内とを重ねて言う。本巻の第五百八十一首の「下に流るれ」と同じく、表に出さない恋を流れる水にたとえる。
結句「恋ひわたるらむ」 「恋ひわたる」は恋い続ける意、「らむ」は原因推量で、「や」の結びとして連体形をとる。
ふゆかは:冬の川
した:表に表れない内側。ここでは氷の下と心の内を重ねる
こひわたる:恋い続ける
- 作者
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宗岳大頼
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わが恋にくらぶの山の桜花 間なく散るとも数はまさらじ
- 次の歌
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たぎつ瀬に根ざしとどめぬ浮草の うきたる恋も我はするかな