宵々に脱ぎて我が寝る狩衣
かけて思はぬ時の間もなし
- 歌の意味
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毎晩脱いで掛けてから寝る狩衣のように、あなたを心にかけて思わない時は、ほんのわずかな間もない。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 593
詞書「題しらず」
毎晩脱いで衣架に掛けてから寝る狩衣を序詞とし、「かけて」の一語に衣を掛ける意と心にかける意とを重ねて、あなたを思わない時は少しもないと詠む歌である。日常の身近な動作を景として取り込み、絶え間ない恋心へと転じている。本巻ではここから友則の歌が四首続く。
作者の「とものり」は紀友則である。平安時代前期の歌人で、紀有友の子、紀貫之の従兄弟にあたる。大内記などを務め、古今和歌集の撰者の一人に任じられたが、完成を見ずに没した。三十六歌仙の一人である。
初句「宵々に」 毎晩、夜ごとにの意である。
二句「脱ぎて我が寝る」 衣を脱いで寝ることを言い、三句の「狩衣」を修飾する。
三句「狩衣」 もとは狩りの時に着た衣で、平安時代には貴族の平服とされた。初句からここまでが序詞となり、衣を掛けることから四句の「かけて」を導く。
四句「かけて思はぬ」 「かけて」は、脱いだ狩衣を衣架に「掛けて」の意と、心に「かけて」思う意とを掛けた掛詞である。
結句「時の間もなし」 「時の間」はわずかな時間のことで、少しの間も思わない時はないと結ぶ。前歌の第五百九十二首までの水辺の景から、身近な衣の景へと移っている。
かりぎぬ:狩りの時に着た衣。平安時代には貴族の平服
かく:衣を衣架に「掛ける」意と、心に「かける」意を掛ける
ときのま:わずかな時間
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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たぎつ瀬に根ざしとどめぬ浮草の うきたる恋も我はするかな
- 次の歌
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東路の小夜の中山なかなかに 何しか人を思ひそめけむ