月影にわが身をかふるものならば
つれなき人もあはれとや見む
- 歌の意味
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月の光にわが身を変えることができるものならば、つれないあの人も、しみじみといとしいものとして見てくれるだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 602
詞書「題しらず」
もし自分の身を月の光に変えることができるなら、冷淡なあの人も、月を眺めるように自分をしみじみと見てくれるだろうかと詠む歌である。人が心を寄せて眺める月の光にわが身をなぞらえる空想に、相手の心を少しでも自分に向けたいという切ない願いがこめられている。前歌に続き、同じ作者が「つれなき」相手を詠む。
作者の「たたみね」は壬生忠岑である。平安時代前期の歌人で、壬生忠見の父。下級官人であったが、古今和歌集の撰者の一人に選ばれた。三十六歌仙の一人である。
初句「月影に」 「月影」は月の光のことである。人がしみじみと眺めるものとして取り上げる。
二句「わが身をかふる」 「かふ」は変える、取り替える意で、自分の身を月の光に変えるの意である。
三句「ものならば」 仮定の条件で、もしできるものならばの意である。
四句「つれなき人も」 冷淡な相手を指す。前歌の第六百一首の「つれなき君が心」を受け、同じ語で相手を言う。「も」は、あのつれない人でさえもの意を含む。
結句「あはれとや見む」 「あはれ」はしみじみといとしく思う気持ちである。「や」は疑問の係助詞で、連体形「見む」で結ぶ。月を眺めるように自分を見てくれるだろうかと問いかけて結ぶ。
つきかげ:月の光
かふ:変える、取り替える
あはれ:しみじみと心を動かされる気持ち
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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風吹けば峰に別るる白雲の 絶えてつれなき君が心か
- 次の歌
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恋ひ死なば誰が名は立たじ世の中の 常なきものと言ひはなすとも