津の国の難波の葦のめもはるに
繁きわが恋人知るらめや
- 歌の意味
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津の国の難波の葦が芽を張るように、見渡す限り遥かに生い茂る私の恋の思いを、あの人は知っているだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 604
詞書「題しらず」
津の国の難波の葦が芽を張って一面に茂るように、見渡す限り繁りに繁る自分の恋の思いを、あの人は知っているだろうかと詠む歌である。上の句の難波の葦の景を序詞とし、「めもはる」に「芽も張る」と「目も遥」とを掛けて、恋の思いの多さと広がりを表している。本巻ではここから貫之の歌が三首続く。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。平安時代前期の歌人で、紀望行の子。古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を記した。土佐守を務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「津の国の」 「津の国」は摂津国のことである。
二句「難波の葦の」 「難波」は摂津国の歌枕で、葦の生い茂る入江として詠まれる。初句から三句の「めもはる」までが序詞となる。
三句「めもはるに」 「めもはる」は葦が「芽も張る」意と、見渡す限り「目も遥」である意とを掛けた掛詞である。
四句「繁きわが恋」 「繁し」は草木が茂る意と、恋の思いが多く激しい意とを重ねる。本巻の第五百六十首の「しげさまされど」と同じく、草の茂りに恋の思いを重ねる。「わが恋」で体言止めとなる。
結句「人知るらめや」 「らめ」は現在推量の助動詞「らむ」の已然形、「や」は反語で、あの人が知っているだろうか、いや知るまいの意となる。
つのくに:摂津国
なには:摂津国の歌枕。葦の生い茂る入江として詠まれる
めもはる:葦が「芽も張る」意と、見渡す限り「目も遥」である意を掛ける
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
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恋ひ死なば誰が名は立たじ世の中の 常なきものと言ひはなすとも
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