頼めつつ逢はで年ふるいつはりに
懲りぬ心を人は知らなむ
- 歌の意味
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逢おうと期待させながら逢わずに何年も過ぎていく、その偽りにも懲りない私の心を、あの人はわかってほしい。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 614
詞書「題しらず」
逢おうと約束して期待させながら、実際には逢わないまま年月を重ねる相手の偽りに、それでも懲りずに思い続ける自分の心を知ってほしいと訴える歌である。裏切られ続けてもなお相手を信じて待つ一途さが、恨みではなく訴えとして表されている。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。平安時代前期の歌人で、古今和歌集の撰者の一人。甲斐少目、和泉大掾などの地方官を務めたが、歌才は高く評価された。三十六歌仙の一人である。
初句「頼めつつ」 「頼む」は下二段活用で、期待させる、あてにさせる意である。「つつ」は反復で、何度も期待させながらの意となる。前歌の第六百十三首の「頼めし夢」と同じ語で、前歌では夢が期待させたのに対し、この歌では相手が期待させる。
二句「逢はで年ふる」 「で」は打消の接続助詞で、逢わないで何年も過ぎるの意である。
三句「いつはりに」 相手の約束が偽りとなっていることを言い、「に」は対象を表す。
四句「懲りぬ心を」 「懲る」は失敗に懲りる意で、「ぬ」は打消の連体形、懲りない心の意である。
結句「人は知らなむ」 「なむ」は他に対する願望の終助詞で、あの人にわかってほしいと結ぶ。
たのむ:(下二段活用で)期待させる、あてにさせる
こる:失敗や苦い経験に懲りる
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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今ははや恋ひ死なましを逢ひ見むと 頼めし夢ぞ命なりける
- 次の歌
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命やは何ぞは露のあだものを 逢ふにしかへば惜しからなくに