有明のつれなく見えし別れより
暁ばかり憂きものはなし
- 歌の意味
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有明の月がそっけなく見えた、あの別れの時から、夜明け前の暁ほどつらいものはない。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 625
詞書「題しらず」
有明の月が冷たく見えたあの別れ以来、暁ほどつらいものはないと詠む歌である。つれなく見えたのが月なのか相手の女なのかが古来議論され、逢えずに帰った朝とも、後朝の別れとも読める。藤原定家が『小倉百人一首』に選び、忠岑の代表作として名高い。
作者の「みぶのただみね」は壬生忠岑である。壬生安綱の子とされ、官位は低かったが、『古今和歌集』の撰者の一人で、三十六歌仙の一人である。
本巻では逢わずに帰る恋の歌群に置かれており、前歌の「今宵明けなば」を受けて、明ける時刻のつらさへと続く配列である。
初句「有明の」は、夜明けになっても空に残る月を指す。
二句「つれなく見えし」は、そっけなく冷淡に見えた、の意で、過去「き」の連体形「し」で下に続く。月の姿と相手の態度の両方に取れる表現である。
三句「別れより」は、別れた時から、の意で、格助詞「より」が起点を示す。
四句「暁ばかり」は、暁ほど、の意で、副助詞「ばかり」が程度を示す。
結句「憂きものはなし」は、つらいものはない、と言い切って結ぶ。
ありあけ:夜が明けても空に月が残っていること、その月
あかつき:夜明け前のまだ暗いころ
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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逢はずして今宵明けなば春の日の 長くや人をつらしと思はむ
- 次の歌
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逢ふことのなぎさにし寄る波なれば うらみてのみぞ立ち帰りける