忍ぶれど恋しき時はあしひきの
山より月の出でてこそ来れ
- 歌の意味
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人目を忍んではいるけれど、恋しい時には、山から月が出てくるように、私も家を出てこうしてやって来るのだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 633
詞書「題しらず」
人目を忍んでいても、恋しさがつのる時には、山の端から月が出るように、自分も家を出て恋人のもとへ来てしまうと詠む歌である。月が山から出る姿に、こらえきれずに出かける自分を重ね、忍ぶ恋のはずが隠しきれない思いを明るい月の光に託している。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、『古今和歌集』の撰者の中心となり、仮名序を書いた。三十六歌仙の一人である。
前歌の業平が関守に阻まれて逢えなかったのに対し、本歌は月に託して出かけて来る側の歌となっており、通い路の歌が続く配列である。
初句「忍ぶれど」は、人目を忍んではいるが、の意で、逆接の「ど」で下に続く。
二句「恋しき時は」は、恋しくてたまらない時には、の意で、条件を示す。
三句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
四句「山より月の」は、山の端から月が出るように、の意で、月の出と自分の外出を重ねる。
結句「出でてこそ来れ」は、出て来るのだ、の意で、係助詞「こそ」を已然形「来れ」で結ぶ係り結びである。月が出て来ることと、自分が家を出て来ることを重ねる。
しのぶ:人目を避けて恋心を隠す
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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人知れぬ我が通ひ路の関守は 宵々ごとにうちも寝ななむ
- 次の歌
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恋ひ恋ひてまれに今宵ぞあふさかの ゆふつけ鳥は鳴かずもあらなむ