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長しとも思ひぞ果てぬ昔より
逢ふ人からの秋の夜なれば

歌の意味
秋の夜が長いとも、決めてしまうことはできない。昔から、逢う人次第で長くも短くもなる秋の夜なのだから。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 636

詞書「題しらず」
 秋の夜は長いとも言い切れない、昔から逢う相手によって長くも短くもなるものだから、と詠む歌である。恋しい人と逢う夜は短く、独り寝の夜は長いという恋の実感を、理屈めかした言い回しで述べている。
 作者の「凡河内みつね」は凡河内躬恒である。甲斐少目、淡路権掾などの地方官を務め、『古今和歌集』の撰者の一人で、三十六歌仙の一人である。
 前歌の小町が、秋の夜長も逢う夜には名ばかりだと嘆いたのを受け、秋の夜の長短は相手次第だと答えるように続く配列で、二首で対をなしている。

 初句「長しとも」は、秋の夜が長いとも、の意で、世に言われる秋の夜長を踏まえる。
 二句「思ひぞ果てぬ」は、思い切ることはできない、の意で、係助詞「ぞ」を打消「ず」の連体形「ぬ」で結ぶ係り結びである。二句切れである。
 三句「昔より」は、昔から、の意で、古くから変わらない恋の道理であることを示す。
 四句「逢ふ人からの」は、逢う人によっての、の意で、格助詞「から」が原因、理由を示す。
 結句「秋の夜なれば」は、秋の夜なのだから、の意で、二句の理由を倒置の形で示す。

おもひはつ:すっかり思い定める、思い切る
作者
凡河内躬恒
出典
古今和歌集
前の歌
秋の夜も名のみなりけり逢ふといへば ことぞともなく明けぬるものを
次の歌
しののめのほがらほがらと明けゆけば おのがきぬぎぬなるぞ悲しき