しののめのほがらほがらと明けゆけば
おのがきぬぎぬなるぞ悲しき
- 歌の意味
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東の空がほのぼのと明るく明けていくと、それぞれが自分の衣を着て別れることになるのが悲しい。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 637
詞書「題しらず」
夜が明けて空が明るくなっていくと、共寝をした二人がそれぞれ自分の衣を着て別れなければならないのが悲しいと詠む歌である。「きぬぎぬ」は、重ねて寝た衣を朝にそれぞれが着て別れることから、後朝の別れを表す語となった。明けゆく空の明るさと、別れの悲しさが対照をなしている。
作者は「よみ人しらず」とあり、名は伝わっていない。
ここから後朝の別れを詠む歌群が始まる。次歌の第六百三十八首と次々歌の第六百三十九首はともに「明けぬとて」と起こし、第六百四十首は同じく「しののめの」と起こして、夜明けの別れを詠み継いでいる。
初句「しののめの」は、明け方の東の空がほのかに明るくなるころを表す。
二句「ほがらほがらと」は、空が明るく晴れ晴れとしていく様子を表す擬態語である。
三句「明けゆけば」は、明けていくと、の意で、確定条件を示す。
四句「おのがきぬぎぬ」は、それぞれ自分の衣、の意で、共寝の衣を分けて着る後朝の別れを表す。
結句「なるぞ悲しき」は、そうなるのが悲しい、の意で、係助詞「ぞ」を連体形「悲しき」で結ぶ係り結びである。
しののめ:夜明け方、東の空がほのかに明るくなるころ
きぬぎぬ:共寝をした男女が翌朝それぞれの衣を着て別れること、後朝の別れ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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長しとも思ひぞ果てぬ昔より 逢ふ人からの秋の夜なれば
- 次の歌
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明けぬとて今はの心つくからに など言ひ知らぬ思ひ添ふらむ