明けぬとて今はの心つくからに
など言ひ知らぬ思ひ添ふらむ
- 歌の意味
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夜が明けたからと、もうこれで別れる時だという気持ちになるとすぐに、どうして言いようのない思いが加わってくるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 638
詞書「題しらず」
夜が明けてもう別れなければならないと思ったとたんに、言葉にできない切ない思いがこみ上げてくるのはなぜだろうと詠む歌である。別れの時刻を自覚した瞬間の心の動きを、理由を問う形で捉えている。
作者の「藤原国経朝臣」は藤原長良の長男で、藤原基経の同母兄にあたる。大納言に至った。
初句「明けぬとて」は、夜が明けたといって、の意である。次歌の初句も同じく「明けぬとて」で始まり、二首が並べられている。
二句「今はの心」は、今はもう別れる時だという気持ち、の意である。
三句「つくからに」は、その気持ちが生じるとすぐに、の意で、接続助詞「からに」が、〜するやいなや、を表す。
四句「など言ひ知らぬ」は、どうして言いようもない、の意で、疑問の副詞「など」が結句の「らむ」と呼応する。
結句「思ひ添ふらむ」は、思いが加わるのだろうか、の意で、原因推量の「らむ」で結ぶ。
いまは:今はもう最後、別れの時
いひしらず:言いようもない
- 作者
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藤原国経
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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しののめのほがらほがらと明けゆけば おのがきぬぎぬなるぞ悲しき
- 次の歌
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明けぬとて帰る道にはこき垂れて 雨も涙も降りそほちつつ