- 歌の意味
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恋しいのなら、心の内でひそかに思っていなさい。紫草の根で摺り染めにした衣の色のように、決して顔色に出してはいけない。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 652
詞書「題しらず」
恋しいなら心の内で思うにとどめ、紫の根摺りの衣の色のように、決して表に出してはならないと、相手に言い聞かせる歌である。紫草の根で染めた鮮やかな衣の色を、表に出てしまう恋心のたとえに用い、秘めた恋を守るよう戒めている。
作者は「よみ人しらず」とあり、名は伝わっていない。
初句「恋しくは」は、恋しいならば、の意で、仮定の条件を示す。
二句「下にを思へ」は、心の内で思っていなさい、の意で、間投助詞「を」で強め、命令形で言い切る二句切れである。
三句「紫の」は、紫草のことで、根を染料に用いた。
四句「根摺りの衣」は、紫草の根で摺り染めにした衣で、鮮やかな色が表に出ることから、次の「色に出づ」を導く。
結句「色に出づなゆめ」は、決して表に出すな、の意で、禁止の「な」と副詞「ゆめ」で強く戒める。倒置の形で結ぶ。
したにおもふ:心の内でひそかに思う
ねずり:草の根で布を摺り染めにすること
いろにいづ:思いが顔色や態度に表れる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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吉野川水の心は早くとも 滝の音には立てじとぞ思ふ
- 次の歌
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花すすきほに出でて恋ひば名を惜しみ 下結ふ紐の結ぼほれつつ