うつつにはさもこそあらめ夢にさへ
人目をよくと見るがわびしさ
- 歌の意味
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現実では人目を避けるのもそれは仕方がないだろう。けれど夢の中でまで、あなたが人目を避けていると見るのが、やりきれない。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 656
詞書「題しらず」
現実で人目をはばかるのは仕方がないが、夢の中でまで相手が人目を避けているのを見るのがつらいと詠む歌である。せめて夢の中では自由に逢いたいという願いが裏切られる寂しさを表している。
作者の「こまち」は小野小町である。仁明天皇、文徳天皇のころに宮仕えしたとされ、六歌仙、三十六歌仙の一人である。
本歌から三首、小町の夢の歌が続く。夢と現実を対比させる趣向は、巻第十二の第五百五十二首から続く小町の夢の歌にも通じている。
初句「うつつには」は、現実では、の意で、三句の「夢に」と対をなす。
二句「さもこそあらめ」は、それも仕方がないだろう、の意で、係助詞「こそ」を推量「む」の已然形「め」で結ぶ係り結びである。逆接で下へ続き、二句切れとなる。
三句「夢にさへ」は、夢の中でまで、の意で、副助詞「さへ」が添加を示す。
四句「人目をよくと」は、人目を避けると、の意である。
結句「見るがわびしさ」は、そう見るのがやりきれない、の意で、名詞「わびしさ」で結ぶ体言止めである。
よく:避ける
うつつ:現実
- 作者
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小野小町
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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泣き恋ふる涙に袖のそほちなば 脱ぎかへがてら夜こそは着め
- 次の歌
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限りなき思ひのままに夜も来む 夢路をさへに人はとがめじ