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限りなき思ひのままに夜も来む
夢路をさへに人はとがめじ

歌の意味
限りない恋しさのままに、夜にもあなたのもとへ行こう。夢の中の通い路までは、人も咎めはしないだろう。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 657

詞書「題しらず」
 限りない恋しさのままに、夜には夢の通い路を通って逢いに行こう、夢の中の道までは人も咎めないだろうと詠む歌である。現実では人目に阻まれる恋を、夢の中で自由に果たそうとする強い思いが表れている。
 作者の「こまち」は小野小町である。仁明天皇、文徳天皇のころに宮仕えしたとされ、六歌仙、三十六歌仙の一人である。
 前歌で夢の中でさえ人目を避けると嘆いたのに対し、本歌は夢路なら咎められまいと、夢に望みを託す歌となっている。

 初句「限りなき」は、限りのない、の意で、恋しさの深さを示す。
 二句「思ひのままに」は、恋しい思いのままに、の意である。
 三句「夜も来む」は、夜にも行こう、の意で、意志の「む」で言い切る三句切れである。
 四句「夢路をさへに」は、夢の中の通い路までは、の意で、副助詞「さへ」に「に」を添えて強める。
 結句「人はとがめじ」は、人も咎めはしないだろう、の意で、打消推量の「じ」で結ぶ。

ゆめぢ:夢の中で通う道
とがむ:非難する、問いただす
作者
小野小町
出典
古今和歌集
前の歌
うつつにはさもこそあらめ夢にさへ 人目をよくと見るがわびしさ
次の歌
夢路には足も休めず通へども うつつに一目見しことはあらず