冬の池に住むにほ鳥のつれもなく
そこに通ふと人に知らすな
- 歌の意味
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冬の池に住むかいつぶりが、連れもなく水の底に潜って通うように、あなたがそ知らぬ顔をして、私のもとへ通っていると、人に知らせないでくれ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 662
詞書「題しらず」
冬の池のかいつぶりが連れもなく水の底へ潜るように、そ知らぬ顔でそこへ通っていることを人に知らせないでくれと詠む歌である。「そこ」に水の底とそこ(その場所)を掛け、「つれもなく」に連れがない意とそっけない意を重ねて、忍ぶ恋の秘密を守るよう相手に求めている。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。甲斐少目、淡路権掾などの地方官を務め、『古今和歌集』の撰者の一人で、三十六歌仙の一人である。
初句「冬の池に」は、六音の字余りで、冬の寒々とした池の景を示す。
二句「住むにほ鳥の」は、池に住むかいつぶりの、の意で、水に潜る鳥として詠まれる。
三句「つれもなく」は、連れがなく、の意と、そっけなく、の意を重ねる。ここまでが「そこ」を導く序詞となる。
四句「そこに通ふと」は、底と其処を掛けた掛詞で、鳥が水の底に潜ることと、そこへ通うことを重ねる。
結句「人に知らすな」は、人に知らせるな、の意で、禁止の「な」で結ぶ。
にほどり:かいつぶり、水に潜るのが巧みな水鳥
そこ:水の底の意と、その場所の意の其処を掛ける
つれなし:そっけない、素知らぬ様子
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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紅の色には出でじ隠れ沼の 下に通ひて恋ひは死ぬとも
- 次の歌
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笹の葉に置く初霜の夜を寒み しみはつくとも色に出でめや