白川の知らずとも言はじ底清み
流れて世々にすまむと思へば
- 歌の意味
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白川の名のように、知らないとは言うまい。白川の底が清いので、流れていつまでも澄むように、末長くあなたと共に住もうと思っているのだから。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 666
詞書「題しらず」
白川の名にちなんで、あなたのことを知らないとは言うまい、川の底が清く流れて末長く澄むように、いつまでも共に住もうと思うからだと詠む歌である。「すま」に澄むと住むを掛け、清らかな川の流れに、濁りのない変わらぬ愛を重ねている。忍ぶ恋の歌が続く中で、恋を隠さずに誓う歌として置かれている。
作者の「平貞文」は平好風の子で、桓武平氏の出身である。左兵衛佐などを務め、平中の名で知られる色好みで、『平中物語』の主人公とされる。中古三十六歌仙の一人である。
本巻の第六百三十首で元方が「知らずとを言はむ」と関係を否定したのと反対に、本歌は「知らずとも言はじ」と関係を隠さない姿勢を示し、対照をなしている。
初句「白川の」は、京の東を流れる白川のことで、同音で「知らず」を導く。
二句「知らずとも言はじ」は、知らないとは言うまい、の意で、打消意志の「じ」で言い切る。八音の字余りで、二句切れである。
三句「底清み」は、川の底が清いので、の意で、接尾語「み」が理由を示す。
四句「流れて世々に」は、流れていつまでも、の意で、川の流れと時の流れを重ねる。
結句「すまむと思へば」は、澄むと住むを掛けた掛詞で、川が澄むことと、共に住むことを重ねる。二句の理由を倒置の形で示す。「白川」「底」「清み」「流れ」「澄む」は縁語である。
すむ:水が澄む意と、共に住む意を掛ける
よよ:いつまでも、末長く
- 作者
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平貞文
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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満つ潮の流れひるまを逢ひがたみ みるめの浦によるをこそ待て
- 次の歌
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下にのみ恋ふれば苦し玉の緒の 絶えて乱れむ人なとがめそ