陸奥の安積の沼の花かつみ
かつ見る人に恋ひやわたらむ
- 歌の意味
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陸奥の安積の沼に咲く花かつみの「かつ」ではないが、こうして逢っていながら、私はなおその人を恋しく思い続けるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 677
詞書「題しらず」
逢っているそばから、なお相手を恋い慕い続けるのだろうかと、尽きることのない恋心を詠んだ歌である。上三句は「花かつみ」の「かつみ」の音から「かつ見る」を導く序詞で、陸奥の沼に咲く花の遠い風景が、目の前の人への思いへと転じている。
古今和歌集の恋歌四の巻頭に置かれた一首で、すでに逢う仲となった後の恋を扱う本巻の始まりを告げている。結句「恋ひやわたらむ」は本巻の第七百三十二首の結句「恋ひわたりなむ」と響き合い、巻の終わり近くでも同じ恋の持続が詠まれている。また逢ってもなお恋しいという巻頭の歌は、形見があるために忘れられないと嘆く巻末の第七百四十六首と、見ることと恋しさの関係において呼応している。
初句「陸奥の」は、東北地方の陸奥国をいい、都から遠く離れた歌枕の地であることを示す。
二句「安積の沼の」は、陸奥国安積郡(現在の福島県郡山市付近)にあった沼で、歌枕として知られる。
三句「花かつみ」は、安積の沼に生える水草の名で、真菰の類とされるが何を指すかは諸説ある。ここまでが同音の「かつ見る」を導く序詞である。
四句「かつ見る人に」の「かつ」は、一方では、同時にの意の副詞で、逢っていながら一方ではの意となる。
結句「恋ひやわたらむ」の「や」は疑問の係助詞、「わたる」は動詞に付いてずっと…し続ける意を添え、推量の助動詞「む」の連体形で結ぶ係り結びである。
はなかつみ:水辺に生える草の名。真菰の類とされるが諸説ある
こふ:異性を思い慕う
わたる:動詞の連用形に付いて、ずっと…し続ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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知るといへば枕だにせで寝しものを ちりならぬ名の空に立つらむ
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逢ひ見ずは恋しきこともなからまし 音にぞ人を聞くべかりける