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春霞たなびく山の桜花
見れどもあかぬ君にもあるかな

歌の意味
春霞がたなびく山の桜の花のように、いくら見ても見飽きることのないあなたであることよ。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 684

詞書「題しらず」
 春霞のたなびく山の桜のように、いくら見ても見飽きない相手をたたえた歌である。春の山桜の美しさをそのまま恋人の魅力に重ね、明るく晴れやかな調子で詠まれている。
 前歌までの「飽く」の一連を受け、「見れどもあかぬ」の句で、第六百八十二首の「あかずもあるかな」と同じ思いを桜のたとえで表している。
 作者の「とものり」は紀友則である。紀有朋の子で、紀貫之の従兄弟にあたり、古今和歌集の撰者の一人であったが、完成を見ずに没したとされる。

 初句「春霞」は、春にたちこめる霞をいい、季節の情景を示す。
 二句「たなびく山の」は、霞が横に長く引く山をいい、遠く望む桜の景色を描いている。
 三句「桜花」は、ここまでで四句の「見れどもあかぬ」を導く序詞となる。
 四句「見れどもあかぬ」は、見ても見ても飽きないの意で、本巻の第六百八十二首の結句「あかずもあるかな」と「飽く」の語を共有している。
 結句「君にもあるかな」は、あなたであることよの意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。

たなびく:霞や雲が横に長く引く
作者
紀友則
出典
古今和歌集
前の歌
伊勢の海人の朝な夕なにかづくてふ みるめに人をあくよしもがな
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心をぞわりなきものと思ひぬる 見るものからや恋しかるべき