今来むと言ひしばかりに長月の
有明の月を待ち出でつるかな
- 歌の意味
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今すぐ行くとあなたが言ったばかりに、それを信じて待つうちに、九月の長い夜を過ごし、有明の月が出るのを待ち迎えてしまったことよ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 691
詞書「題しらず」
「すぐに行く」という相手の言葉を信じて待ち続け、とうとう夜明けの空に残る有明の月が出るまで待ってしまったという、待つ女の立場で詠んだ歌である。一夜のこととも、幾月も待ち続けたこととも解され、その解釈の幅が歌の余情を深めている。
「待つ」の一連の中で、相手の言葉を頼みにした末の待ちぼうけを詠んでいる。小倉百人一首の二十一番に採られた歌として広く知られている。
作者の「そせいほうし」は素性である。僧正遍昭の子で、俗名を良岑玄利といい、出家後は雲林院や石上の良因院に住んだ。三十六歌仙の一人である。
初句「今来む」は、すぐに行こうの意で、相手の男の言葉である。「来」は相手の側に視点を置いた言い方で、行くの意となる。
二句「言ひしばかりに」は、言ったばかりにの意で、その一言を信じたために待ち続けたことを示す。
三句「長月の」は、陰暦九月をいい、秋の夜長を思わせる。
四句「有明の月を」は、夜が明けてもなお空に残る月をいい、陰暦二十日過ぎの遅く出る月である。
結句「待ち出でつるかな」は、月が出るのを待ち迎えることになってしまったことよの意で、待つ人は来ずに月が出てしまった嘆きを詠嘆の「かな」で結ぶ。
ながつき:陰暦九月
ありあけ:月が空に残ったまま夜が明けること。また、その月
まちいづ:待っていて、ついに出るのを迎える
- 作者
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素性
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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君や来む我や行かむのいさよひに 真木の板戸もささず寝にけり
- 次の歌
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月夜よし夜よしと人に告げやらば 来てふに似たり待たずしもあらず