あな恋し今も見てしか山がつの
垣ほに咲ける大和なでしこ
- 歌の意味
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ああ恋しい。今すぐにでも逢いたいものだ。山里に住む者の垣根に咲いている大和撫子のような、あの愛しい人に。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 695
詞書「題しらず」
山里の垣根に咲く撫子に恋しい人をなぞらえ、今すぐにでも逢いたいと直情的に訴える歌である。「なでしこ」に「撫でし子」を掛け、かつていつくしんだ人への思いを可憐な花に託している。
待つことを詠んだ一連に続き、待つのではなく自ら逢いたいと願う心へと転じている。初句「あな恋し」の感動詞の強さが、前の一連の忍耐と対照をなしている。
初句「あな恋し」は、ああ恋しいの意で、感動詞「あな」に形容詞の語幹を続けた強い詠嘆であり、ここで句切れとなる。
二句「今も見てしか」は、今すぐにでも逢いたいものだの意で、「てしか」は願望を表す終助詞である。ここで句切れとなる。
三句「山がつの」は、山里に住む身分の低い人をいう。
四句「垣ほに咲ける」は、垣根に咲いているの意で、身近にありながら手の届かない花のさまを示す。
結句「大和なでしこ」の「なでしこ」は、花の撫子と、撫でいつくしんだ子の意の「撫でし子」を掛けた掛詞で、名詞で止める体言止めである。
やまがつ:山里に住む身分の低い人
かきほ:垣根
なでしこ:花の撫子の意と、撫でていつくしんだ子の意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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宮城野のもとあらの小萩露を重み 風を待つごと君をこそ待て
- 次の歌
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津の国のなには思はず山城の とはにあひ見むことをのみこそ