津の国のなには思はず山城の
とはにあひ見むことをのみこそ
- 歌の意味
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摂津の国の難波ではないが、ほかの何事も思わない。山城の鳥羽ではないが、永久にあなたと逢い続けることだけを思っている。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 696
詞書「題しらず」
摂津の難波と山城の鳥羽という地名を掛詞に用い、ほかのことは何も考えず、ただ永久にあなたと逢い続けることだけを思うと詠んだ歌である。地名を巧みに織り込んだ言葉遊びの中に、ひたむきな思いが込められている。
前歌の「今も見てしか」を受け、逢いたいという思いが「とはにあひ見む」と永遠の願いにまで高められている。
初句「津の国の」は、摂津国をいい、二句の「なには」を導く。
二句「なには思はず」の「なには」は、摂津の地名「難波」と、何はの意の「何は」を掛けた掛詞で、何事も思わないの意となる。
三句「山城の」は、山城国をいい、四句の「とは」を導く。
四句「とはにあひ見む」の「とは」は、山城の地名「鳥羽」と、永久にの意の「とは」を掛けた掛詞である。「あひ見む」は、逢い続けようの意である。
結句「ことをのみこそ」は、そのことばかりをの意で、「思へ」などの結びが省略された形であり、余韻を残している。
なには:摂津の地名の難波の意と、何はの意を掛ける
とは:山城の地名の鳥羽の意と、永久の意を掛ける
あひみる:男女が逢って契りを結ぶ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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あな恋し今も見てしか山がつの 垣ほに咲ける大和なでしこ
- 次の歌
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敷島や大和にはあらぬ唐衣 ころも経ずして逢ふよしもがな