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恋しとは誰が名づけけむことならむ
死ぬとぞただに言ふべかりける

歌の意味
「恋しい」とは、いったい誰が名づけた言葉なのだろう。この苦しさは、いっそ「死ぬ」とそのまま言うべきであったのだ。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 698

詞書「題しらず」
 恋の苦しさは「恋しい」という言葉では言い表せず、率直に「死ぬ」と言うべきだと詠んだ歌である。言葉の名づけそのものを問い直す理知的な発想によって、恋の苦しみの激しさを強く訴えている。
 前歌の逢いたいという願いが叶わない苦しさを、言葉の問題として捉え直している。
 作者の「ふかやふ」は清原深養父である。清少納言の曽祖父にあたり、内匠允などを務めた。琴の名手としても知られる。

 初句「恋しとは」は、「恋しい」という言葉はの意で、係助詞「は」で話題を示す。
 二句「誰が名づけけむ」は、誰が名づけたのだろうの意で、過去推量の「けむ」を用いている。
 三句「ことならむ」は、言葉なのだろうの意で、ここで句切れとなる。
 四句「死ぬとぞただに」は、「死ぬ」とそのままにの意で、係助詞「ぞ」が結句の「ける」と係り結びをなす。
 結句「言ふべかりける」は、言うべきであったの意で、「ぞ」を受けて連体形の「ける」で結ぶ。本巻の第六百七十八首の結句「聞くべかりける」と同じ句形である。

なづく:名をつける
こと:言葉
作者
清原深養父
出典
古今和歌集
前の歌
敷島や大和にはあらぬ唐衣 ころも経ずして逢ふよしもがな
次の歌
三吉野の大川のへの藤波の なみに思はば我が恋ひめやは