三吉野の大川のへの藤波の
なみに思はば我が恋ひめやは
- 歌の意味
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吉野の大川のほとりの藤の花房が波のように揺れる、その「なみ」ではないが、並一通りに思っているのなら、私はこれほど恋い焦がれたりするだろうか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 699
詞書「題しらず」
吉野川のほとりの藤波の「なみ」の音から「並」を導き、並一通りの思いではないからこそこれほど恋しいのだと詠んだ歌である。美しい藤の景色を序詞として、恋の深さを反語で強く言い切っている。
前歌の「死ぬとぞただに言ふべかりける」に続き、恋の苦しみの深さを別の角度から訴えている。
初句「三吉野の」は、大和国の吉野をいい、「み」は美称の接頭語である。
二句「大川のへの」は、大きな川のほとりのの意で、吉野川を指す。
三句「藤波の」は、風に揺れる藤の花房を波に見立てた語で、ここまでが同音の四句の「なみ」を導く序詞である。
四句「なみに思はば」は、並一通りに思うのならの意の仮定条件で、「なみ」は三句の「波」と同音を重ねている。
結句「我が恋ひめやは」は、私が恋い焦がれようか、いやそうではないの意で、反語の「やは」で結ぶ。
ふぢなみ:藤の花房が風に揺れるさまを波に見立てた語
なみ:並、ひととおり
こふ:異性を思い慕う
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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恋しとは誰が名づけけむことならむ 死ぬとぞただに言ふべかりける
- 次の歌
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かく恋ひむものとは我も思ひにき 心のうらぞまさしかりける