天の原踏みとどろかし鳴る神も
思ふ仲をば裂くるものかは
- 歌の意味
-
大空を踏み鳴らして轟く雷神でさえも、愛し合う二人の仲を引き裂くことができようか、いやできはしない。
- 鑑賞
-
巻第十四 恋歌四 701
詞書「題しらず」
天空を踏み鳴らす雷神の力をもってしても、思い合う二人の仲を裂くことはできないと言い切る、力強い恋の誓いの歌である。雷という自然の猛威を持ち出して、二人の絆の強さを誇張的に表している。
前歌までの一人で思い悩む恋から転じ、「思ふ仲」と互いに思い合う仲を詠んでいる。次歌の第七百二首以下では二人の仲を妨げる人の噂が主題となり、雷神でさえ裂けない仲を人の「言」が脅かすという流れへと続いていく。
初句「天の原」は、広々とした大空をいう。
二句「踏みとどろかし」は、踏み鳴らして轟かせの意で、雷鳴を雷神が天を踏み鳴らす音とみている。
三句「鳴る神も」は、雷をいい、係助詞「も」によって、雷神でさえもの意となる。
四句「思ふ仲をば」は、思い合っている二人の仲をの意で、「をば」は格助詞「を」に係助詞「は」が付いて濁ったもので、対象を強調している。
結句「裂くるものかは」は、裂くことができようか、いやできないの意で、反語の「かは」で結ぶ。
あまのはら:広々とした大空
なるかみ:雷
さく:仲を引き離す
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
古今和歌集
- 前の歌
-
かく恋ひむものとは我も思ひにき 心のうらぞまさしかりける
- 次の歌
-
梓弓ひきののつづら末つひに 我が思ふ人に言の繁けむ