大幣の引く手あまたになりぬれば
思へどえこそ頼まざりけれ
- 歌の意味
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大幣を引き寄せる手が多いように、あなたを誘う人があまたになってしまったので、あなたを思ってはいても、とても頼りにすることはできないことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 706
詞書「ある女の、業平朝臣を所定めず歩きすと思ひて、よみて遣はしける」
業平があちこちの女のもとに通っていると思った女が、業平に贈った歌である。祓えの後に人々が引き寄せて身を撫でる大幣にたとえて、引く手あまたの業平を頼みにすることはできないと恨んでいる。
次歌の第七百七首は業平の返歌で、二首は贈答をなしている。同じ贈答は伊勢物語の第四十七段にも見える。本巻の第七百九首にも「はふ木あまたになりぬれば」と同じ句形が用いられ、多情な相手への嘆きが繰り返される。
初句「大幣の」は、祓えに用いる大きな幣をいい、祓えの後に人々がこれを引き寄せて身を撫で、罪や穢れを移したことから二句の「引く手」を導く。
二句「引く手あまたに」は、引き寄せる手が多くの意で、業平を誘う女が多いことを大幣にたとえている。
三句「なりぬれば」は、なってしまったのでの意で、完了の「ぬ」の已然形に接続助詞「ば」が付いた確定条件である。
四句「思へどえこそ」は、思ってはいてもとてもの意で、「え」は打消と呼応して不可能を表す副詞であり、係助詞「こそ」が結句と係り結びをなす。
結句「頼まざりけれ」は、頼りにすることができないことだの意で、「こそ」を受けて詠嘆の「けり」の已然形「けれ」で結ぶ。
おほぬさ:祓えに用いる大きな幣。祓えの後、人々が引き寄せて身を撫でた
たのむ:頼りにする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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数々に思ひ思はず問ひがたみ 身を知る雨は降りぞまされる
- 次の歌
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大幣と名にこそ立てれ流れても つひに寄る瀬はありてふものを