須磨の海人の塩焼く煙風をいたみ
思はぬ方にたなびきにけり
- 歌の意味
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須磨の海人が塩を焼く煙は、風が激しいので、思いもしない方へたなびいてしまったことよ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 708
詞書「題しらず」
須磨の海人が塩を焼く煙が強い風にあおられて思わぬ方角になびくさまに、恋人の心が思いがけず他の人へ移ってしまったことを重ねた歌である。表面は叙景に徹しながら、心変わりへの嘆きを暗に託している。
前の贈答の多情な相手への恨みを受け、恋人の心が他へ移ったことを煙のたなびきにたとえている。ここから本巻の後半へ向けて、心変わりを主題とする歌が増えていく。
初句「須磨の海人の」は、摂津国須磨の浦で漁をする海人をいい、六音の字余りの句である。
二句「塩焼く煙」は、海水を煮詰めて塩を作る際に立つ煙をいい、須磨の浦の代表的な風物である。
三句「風をいたみ」は、風が激しいのでの意で、「名詞+を+形容詞の語幹+み」の形で原因を表す。
四句「思はぬ方に」は、思いもよらない方向にの意で、恋人の心が別の人へ向かったことを暗示している。
結句「たなびきにけり」は、たなびいてしまったことよの意で、完了の「ぬ」と詠嘆の「けり」で結ぶ。
あま:海に潜って魚介や海藻を採り、また塩を焼く人
しほやく:海水を煮詰めて塩を作る
たなびく:煙などが横に長く引く
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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大幣と名にこそ立てれ流れても つひに寄る瀬はありてふものを
- 次の歌
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玉葛這ふ木あまたになりぬれば 絶えぬ心のうれしげもなし